前科をつけたくない

痴漢や盗撮、暴行や窃盗などの犯罪の疑いを持たれて「被疑者」の立場になったとき、前科をつけないためには「刑事裁判を避ける」ことが大切です。

現在の日本の刑事裁判では99.9%以上の案件で有罪判決が出ており、刑事裁判になったら前科がつくことを避けるのは難しいといえます。

前科がつくと、海外渡航の際に入国拒否されたり、一定の職業につくのが難しくなってしまったりする可能性もあります。

前科をつけないためにどのようなことをすれば良いのか、群馬・高崎の弁護士が解説します。

前科とは

前科とは、一般的には「有罪判決により刑が言い渡された経歴」をいいます。刑の種類は主に死刑、懲役、金庫、罰金、勾留及び科料があります。罰金刑を言い渡された場合にも前科となります。

注意していただきたいのは、逮捕されたらすぐに前科がつくわけではないという点です。検察官によって起訴され、裁判において有罪判決が確定することで、初めて前科がつきます。

前科がつくことによるデメリット

前科がついてしまった場合、以下のような不利益が生じる可能性があります。

資格や職業に制限がかかる

運転免許などの日常生活にとって身近な資格が前科がつくことで制限されることはありません。しかし、国家資格によっては、前科があると資格を取得できない、または資格を取り消されたりする場合があります。

懲役刑や禁固刑(執行猶予つきも含む)を受けると、一定期間もしくは無期限で制限される資格や職業は下記の通りです。

国家公務員、地方公務員、自衛隊員、人権擁護委員、商工会議所の役員   保育士、旅客自動車運送事業者、社会福祉士・介護福祉士 質屋、公認会計士・公認会計士補、行政書士、司法書士、不動産鑑定士・不動産鑑定士補 警備業者・警備員、宅地建物取引主任者、貸金業者、建設業者、建築士(一級,二級,木造建築士)、古物商、商工会の役員 学校の校長・教員、裁判官、検察官、弁護士、保護司、調停委員、教育委員会の委員、中央競馬の調教師・騎手、検察審査員 等

また、次の資格や職業は、罰金でも制限される可能性があります。

医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師 等

就職に影響が出る

履歴書の賞罰欄に、前科があるのに「前科なし」と書いてしまうと虚偽の記載をしたことになり、後々虚偽記載をしたことが判明した場合に懲戒処分を受けたり、場合によっては懲戒解雇される可能性があります。

海外への渡航が制限される

執行猶予受け入れ側の国によっては、前科があるためにビザを必要とされたり、ビザを申請する際に「犯罪経歴証明書」の提出を求められる場合もあります。

前科をつけないために

前科をつけないためには、不起訴処分となることです。

不起訴処分とは、検察官が「被疑者を起訴しない」とする決定です。逮捕されると警察から検察に事件が送致され、検察官がその事件について起訴するか、しないかを判断します。現在の日本の刑事裁判では99.9%以上の事件で有罪判決が出ており、起訴されると前科がつくことは避けられない可能性が極めて高いです。

起訴されなければ刑事裁判にはなりませんので、前科がつくことはありません。

それでは、不起訴処分となるためには具体的にどのような対策を行えば良いのか、次で解説します。

不起訴処分を得る方法

反省の態度を示す

不起訴処分にしてもらうには、被疑者が深く反省していることを検察官に理解してもらうことが重要です。

痴漢や窃盗などの犯罪行為をしてしまったなら「なぜそんなことをしてしまったのか」自分を見つめ直し「二度と同じ過ちはしない」と固く誓いましょう。取り調べの際にも取調官や検察官にしっかり反省の気持ちを伝えるべきです。

被害者のいる犯罪では示談を成立させる

痴漢や盗撮、暴行、窃盗などの被害者がいる事件では、被害者の方に謝罪をし、被害弁償を申し出て、可能であれば示談に応じてもらうことが重要です。初犯で被害者の方との示談が成立し、被害弁償を終えていたら、不起訴となる可能性が大きく高まります。

なお、被害者の方の多くは、加害者と連絡も取りたくないと考えていることがほとんどですので、加害者自身が示談交渉を進めるのは困難です。第三者である弁護士を通じて、被害者の方への謝罪や示談に示談に関しての話し合いを進めていくこととなります。

再犯可能性が低いことを示す

検察官に不起訴決定してもらうにはこの被疑者は再犯に及ばない」と再犯の可能性が低いと感じてもらうことも重要です。

そのためには、家族による監督を期待できると伝えられると良いでしょう。弁護士が家族に身元引受書を書いてもらって検察官に渡したり事情を伝えたりすると不起訴の方向へと傾きます。

贖罪寄付を検討する  

薬物犯罪などの被害者のいない事件では、被害者の方との示談ができません。

反省と贖罪(しょくざい)の気持ちを表明するため「贖罪寄付」を行うことにより、処分を軽くしてもらえるケースがあります。

冤罪の場合

犯罪行為をしていないのに冤罪で逮捕された場合、決して罪を認めてはなりません。犯罪を立証できるだけの客観的な証拠がなければ「嫌疑不十分」となって不起訴となる可能性が高まります。

早期に弁護人を選任し、無罪の根拠や証拠を集めて検察官に提示しましょう。

なるべく早めに弁護士に相談を

刑事事件の被疑者となったとき、前科をつけないためには刑事弁護に長けた弁護士による防御活動が極めて重要です。

当事務所では、早期にご依頼いただいたことで前科が付くことを回避できた事例がございます。
【参考】窃盗罪2件で掲載の事情聴取段階で介入し、いずれも不起訴処分を獲得した事案

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【参考】私選弁護士をつけるメリット

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